周縁飛行

日に日に半径が増大する極大の遠回り。その記録。

202008 星の降る森(群馬県)キャンプ 2

アスファルトを焦がす太陽、鼓膜を突き破り脳を発狂させる蝉しぐれ、切り出したての木材が秒で腐るほどの湿気。

夏であった。

というか、夏である。

キャンプである。いよいよ出発である。

「travel」カテゴリーを作っていろいろ書いておきながら、ようやく本当にそれらしい記事が書ける。

ということで目的地は、群馬県の「星の降る森」というキャンプ場である。

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202008 星の降る森(群馬県)キャンプ 1

「9月に延期、とか言っていたら、石垣島医療崩壊起こしているみたいなんだが」

「だな。様子見の長期化が予想される」

「どうせすぐ行くだろうと思って、出発前からブログに旅行記つけ始めちゃった俺は、どうしたらいい? このまま永遠に出発しない旅行記になるよ?」

「知らぬよ」

 

< にっちもさっちもいかなくなった石垣島旅行記こちら

 

うだる暑さの中、カルマ氏と私は石垣島に思いを馳せていた。しかし、いくら思いを馳せても現実は変わらない。

ふと、カルマ氏が思い出したように、

「とりあえず、キャンプに行かないか?」

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ゲームプレイ日記 ―ドラゴンクエストⅢ― 4

4 レーベへ移動

 一人でバラモスを殺す気満々だったのに、早くも連れが出来てしまった。しかも出来ただけなら良いが、そのせいで戦闘後の快感が半減してしまった。みずきにはそれを補うだけの働きを見せてもらわねばならない。

「あれは?」

「いっかくうさぎです」

「いや、名前とかどうでもいい。経験値を爆発的にくれる敵なのかどうか」

「いえ、違います。あの、さっきからすごい聞いてくるので言いますけど、その経験値を爆発的にくれる敵はこの辺じゃ、出てこないです。生息地は別の大陸ですから」

「じゃあ、例の靴は?」

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ゲームプレイ日記 ―ドラゴンクエストⅢ― 3

3 商人「みずき」

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 まったく知らない奴だった。

「どうしたの、迷子?」

「違います!こう見えても私、あなたと1つしか違わないんですから!」

 わたしの年齢も知っているのか。

「じゃあ何?」

「さきほどの酒場での行動、拝見しました。おうかさんは、これから魔王討伐の旅に出るのだと聞いております。なので、あの、その……ぜ、是非私をお供に連れて行ってください」

 商人風の女は深々と頭を下げた。

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ゲームプレイ日記 ―ドラゴンクエストⅢ― 2

2 レベルアップという快感

 武器屋へ行ったわたしがまず何をしたかと言うと、王からもらったひのきのぼうとこんぼうを売り払った。

 渡された時は服や金と一緒だったから、何となく受け取ってしまったが、よく考えてみれば、いや、よく考えてみなくてもふざけきった話である。

 一体どこの世界に「魔王を倒してきてくれ」と頼んだ相手に、餞別として木の棒きれを渡す奴がいるだろうか。

 まあ、すぐ近くにいたのだが、棒きれと言っても木刀とかならまだ話は分かる。しかし、わたしが受け取ったのは正に切り出し立てのひのきの材木であり、はっきり言ってこんなものは武器とは言えない。まだマシとはいえ、こんぼうだって同じようなもので、ごっこ遊びの世界でなら伝説の剣になり得るかもしれないが、こんなものでバラモスをぶっ叩いても多分ギャグにしかならない。

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202008 石垣島旅行記 ―出発前― 2

2 続・出発前

「まあ、でもよく考えると、我々の人間的成長は急務だよね」

「焦眉の急という奴だね」

「ここでコロナを理由に旅行へ行かず、人間的成長を自らの手で止めてしまうと、どうなる?」

「知らんのか。ニートのまま生涯を終える」

ウエーイ、とはならなかった。さすがに。

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ゲームプレイ日記 ―ドラゴンクエストⅢ―

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名作名作と周りから勧められていたが、結局やらないままになっていたドラゴンクエストⅢ。スマホで出来る環境になったので、これ幸いと始めることにした。せっかくだからプレイ日記をつけようと思う。ただ、普通につけても面白くなさそうなので、ロールプレイングゲームらしく、主人公になり切ってつけてみようと思う。日記、とは言い条、毎日つけるなどとても無理なので、まずは気が向いた時に書くくらいを目標に。

※ロールプレイの醍醐味ゆえ、脳内補完や脚色が多いです。苦手な人はご注意ください。

 

1 私の父と乳とバラモスと

 物心ついた頃より、わたしの胸中には一つの、確固たる、絶対的に譲れない目的意識があった。

 魔王を倒す。

 魔王という単語が何を指すのか、倒すという動詞が何を意味するのか、そんなこともまだ分からない幼い私の胸に、その目的意識は驚くほど強く根を張っていた。
 最初は薄気味悪かった。まるで誰か知らない人間に意識を乗っ取られ、その他人が自分の頭で思考しているようなのだ。しかし、それもほんの少しの間だけで、すぐにその目的意識は自分のものだと思えるようになり、そうなるともう、最初っからそうだったようにしか思えなかった。
 それほどにその目的意識はわたしに良く馴染んだ。

 魔王が何かすら分からなかったのに。

 何をしている時でも、ふと、まったく唐突に、魔王を倒さなくては、という目的意識に頭を乗っ取られ、けれどそのために何をしたらいいのか分からないので、部屋だったり外だったりをうろついて、うろつく内にその目的意識が薄れて元の状態に戻り、しばらくするとまた熱に浮かされたように魔王を倒すことを考えて……ということを繰り返してわたしは成長していった。

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