ゲームプレイ日記 ―ドラゴンクエストⅢ― 4
4 レーベへ移動
一人でバラモスを殺す気満々だったのに、早くも連れが出来てしまった。しかも出来ただけなら良いが、そのせいで戦闘後の快感が半減してしまった。みずきにはそれを補うだけの働きを見せてもらわねばならない。
「あれは?」
「いっかくうさぎです」
「いや、名前とかどうでもいい。経験値を爆発的にくれる敵なのかどうか」
「いえ、違います。あの、さっきからすごい聞いてくるので言いますけど、その経験値を爆発的にくれる敵はこの辺じゃ、出てこないです。生息地は別の大陸ですから」
「じゃあ、例の靴は?」
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3 商人「みずき」
まったく知らない奴だった。
「どうしたの、迷子?」
「違います!こう見えても私、あなたと1つしか違わないんですから!」
わたしの年齢も知っているのか。
「じゃあ何?」
「さきほどの酒場での行動、拝見しました。おうかさんは、これから魔王討伐の旅に出るのだと聞いております。なので、あの、その……ぜ、是非私をお供に連れて行ってください」
商人風の女は深々と頭を下げた。
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2 レベルアップという快感
武器屋へ行ったわたしがまず何をしたかと言うと、王からもらったひのきのぼうとこんぼうを売り払った。
渡された時は服や金と一緒だったから、何となく受け取ってしまったが、よく考えてみれば、いや、よく考えてみなくてもふざけきった話である。
一体どこの世界に「魔王を倒してきてくれ」と頼んだ相手に、餞別として木の棒きれを渡す奴がいるだろうか。
まあ、すぐ近くにいたのだが、棒きれと言っても木刀とかならまだ話は分かる。しかし、わたしが受け取ったのは正に切り出し立てのひのきの材木であり、はっきり言ってこんなものは武器とは言えない。まだマシとはいえ、こんぼうだって同じようなもので、ごっこ遊びの世界でなら伝説の剣になり得るかもしれないが、こんなものでバラモスをぶっ叩いても多分ギャグにしかならない。
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※ロールプレイの醍醐味ゆえ、脳内補完や脚色が多いです。苦手な人はご注意ください。
1 私の父と乳とバラモスと
物心ついた頃より、わたしの胸中には一つの、確固たる、絶対的に譲れない目的意識があった。
魔王を倒す。
魔王という単語が何を指すのか、倒すという動詞が何を意味するのか、そんなこともまだ分からない幼い私の胸に、その目的意識は驚くほど強く根を張っていた。
最初は薄気味悪かった。まるで誰か知らない人間に意識を乗っ取られ、その他人が自分の頭で思考しているようなのだ。しかし、それもほんの少しの間だけで、すぐにその目的意識は自分のものだと思えるようになり、そうなるともう、最初っからそうだったようにしか思えなかった。
それほどにその目的意識はわたしに良く馴染んだ。
魔王が何かすら分からなかったのに。
何をしている時でも、ふと、まったく唐突に、魔王を倒さなくては、という目的意識に頭を乗っ取られ、けれどそのために何をしたらいいのか分からないので、部屋だったり外だったりをうろついて、うろつく内にその目的意識が薄れて元の状態に戻り、しばらくするとまた熱に浮かされたように魔王を倒すことを考えて……ということを繰り返してわたしは成長していった。
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